形成外科
形成外科は、目に見える体の表面の先天性および後天性の異常を様々な手技を用いて治療しており、頭から手足の先までの全身が治療の対象範囲となります。主な疾患として、下記の疾患があります。
(1) 顔面の先天異常
口唇裂・口蓋裂、 副耳、埋没耳、小耳症、耳瘻孔、眼瞼下垂、睫毛内反、上口唇小帯短縮症、巨口症、舌小帯短縮症など
(2) 手・足の先天異常、けが
多指(趾)症、合指(趾)症、爪の異常(巻き爪)など
(3) その他の先天異常
臍ヘルニア、漏斗胸、鳩胸、副乳、包茎、陰唇癒着症など
(4) 母斑(あざ)、血管腫(赤あざ)、皮膚腫瘍
(5) 瘢痕(きずあと)、ケロイド
けが、やけど、手術後のきずあとなど
(6) 顔面のけが、顔面骨骨折
(7) 熱傷(やけど)
(8) 皮膚潰瘍、褥創
(9) その他:腋臭症(わきが)など
これらの疾患に対して、手術やレーザー治療などにより治療を行っています。小児では、手術を行う場合、全身麻酔が必要となることが多く、入院(通常3日以上)が必要となります。手術によっては、日帰りによる全身麻酔下手術で行っていることが当院の特徴です。
◆漏斗胸の治療◆
漏斗胸は前胸部が陥凹している疾患です。当院では1999年夏から、漏斗胸に対する新しい治療法であるNuss法を行っています。これは、弯曲したチタン製のバーを胸腔内に入れて反転し、陥凹した前胸部を挙上するものです(図1)。小児外科、麻酔科、循環器科、リハビリテーション課、看護師と共同してチームアプローチによる治療を行ない、2023年度末までに157例にNuss法を施行しました。
◆血管腫に対する治療(レーザー治療・薬物治療)◆
2002年より、ダイレーザー(色素レーザー)による血管腫(赤あざ)の治療を行っています。2023年度にダイレーザー装置が新機種であるV-beamⅡに更新されました(図2)。レーザー治療は、単純性血管腫、乳児血管腫(苺状血管腫)、毛細血管拡張症に対して保険での診療が認められています。疾患によりますが、レーザー治療はくり返して治療が必要となることが多く、生後早期よりレーザー治療を行った方が効果的であると言われています。V-beam Ⅱでは、これまで使用してきた旧機種であるV-beamよりもレーザーを照射できるスポットサイズが大きくなり治療にかかる時間が短縮されるなど、より良好な治療結果を得ることができます。
また、近年、乳児血管腫(苺状血管腫)に対して薬物治療(プロプラノロール内服<ヘマンジオルシロップ®️>)が行われるようになりました。当院では、血液腫瘍科と協力して行なっており、良好な結果が得られています。
◆口唇裂・口蓋裂に対する治療◆
歯科、耳鼻科、小児科、リハビリテーション課(言語聴覚士)などとのチームアプローチによる治療を行っています。形成外科初診時に歯科とリハビリテーション課を受診することで、必要な場合は口蓋床(Hotz床)を早期より装用し、言語聴覚士による哺乳指導を行います。最近では産科と共同して、出生前診断で口唇裂・口蓋裂が疑われる場合、出生後の治療についてのガイダンスをご家族に行っています。